富山県立高校入試 国語|小説・物語文

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【富山県立高校入試・国語対策】第3問 小説・物語文

人物の行動・心情変化・表現効果を読み取る物語文を扱います。

場面の前後を比べ、人物どうしの受け止め方の違いを説明できるかがポイントです。

この記事では、実際の過去問をそのまま掲載するのではなく、過去数年分の出題傾向をもとに、当塾が独自に作成した予想問題・類題を紹介しています。

■ 問題

次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

 文化祭の前日、体育館のすみで、私は壊れた照明のコードを巻き直していた。演劇部の舞台係になったものの、私は本当は人前に出る役をやりたかった。けれど、オーディションで選ばれず、舞台の外側からみんなを支える係になった。

 「光を当てる人がいなければ、役者は見えないんだよ。」そう言ったのは、近所に住む祖父だった。祖父は昔、町の映画館で映写技師をしていた。今は足が悪く、長く歩くことはできない。それでも、文化祭の舞台を見たいと言って、杖をつきながら学校まで来てくれた。

 本番直前、主役の美咲が舞台中央に立った。私は照明卓の前で合図を待った。幕が上がると、美咲の白い衣装が光を受け、まるで①朝の川面に鳥が降り立つようだった。客席から小さなどよめきが起こる。私は息を止め、次の場面に合わせて青い光へ切り替えた。

 舞台が進むにつれ、私は不思議な気持ちになった。悔しさが完全に消えたわけではない。けれど、誰かの動きに合わせて光を変えるたび、私の手も物語の中に入っていくようだった。美咲が泣く場面では、照明を少しだけ弱くした。すると、彼女の表情が客席の奥まで静かに届いた気がした。

 休憩時間、祖父の席を見ると、祖父は舞台ではなく、私のいる照明卓の方を見ていた。私が手を振っても、祖父は気づかないように、じっとこちらを見つめていた。私は、祖父が私の声など聞こえていないのだと思った。

 終演後、祖父はゆっくり立ち上がり、「よかったな」と言った。私は「美咲、すごかったでしょ」と返した。すると祖父は首を横に振った。「あの子もよかった。でも、おまえの光があったから、あの子は舞台に立てたんだ。」

 私は思わず「そんなことはない」と言いかけた。私にとって照明係は、選ばれなかった自分に回ってきた役割だった。しかし祖父にとっては、舞台の外から物語を支える、大切な仕事に見えていたのだ。

 祖父は、古い映画館の話を少しだけした。映写室は暗く、客席からは見えない。けれど、フィルムを正しく送らなければ、スクリーンには何も映らない。「見えない場所にも、舞台はあるんだ。」祖父の声は、体育館に残った拍手の音のように、ゆっくり胸に広がった。

 片づけのとき、照明の熱がまだ少し残っていた。私はコードを巻きながら、明日の発表を思い出した。次に誰かが光を必要とするとき、私はまたここに立つだろう。②役を終えたライトが、まだ小さく温かかった

問一

傍線部①の様子について、次の文のA・Bに入る語句を、本文中からそれぞれ抜き出しなさい。

傍線部①は、Aが舞台中央に立ち、Bが光を受けて美しく見えた様子を表している。

問二

祖父が「私の声など聞こえていない」と私が思った理由として最も適切なものを、次から一つ選びなさい。

ア 祖父が眠っていたから。
イ 祖父が舞台だけを見続けていたから。
ウ 祖父が私のいる照明卓をじっと見つめていたから。
エ 祖父が急いで席を立とうとしていたから。

問三

舞台が始まる前と終わった後で、私の心情はどのように変化したか。最も適切なものを選びなさい。

ア 主役になれなかった悔しさから、照明係の役割にも意味があると感じるようになった。
イ 舞台に興味がなかったが、主役になりたいと思うようになった。
ウ 祖父に反発していたが、祖父の昔話を聞いて映画館に行きたくなった。
エ 友人に負けたくなかったが、文化祭をやめたいと思うようになった。

問四

傍線部②について、「ライト」が表しているものとして最も適切なものを、次から一つ選びなさい。

ア 文化祭が終わり、何の役にも立たなくなった道具。
イ 見えない場所で物語を支えた私の役割と、その意味への気づき。
ウ 祖父が昔使っていた映画館の機械そのもの。
エ 舞台で主役が使った小道具。

問五

私が「そんなことはない」と言いかけたのはなぜか。私と祖父の捉え方の違いに触れて、六十字以内で説明しなさい。

問六

祖父の「見えない場所にも、舞台はあるんだ」という言葉は、本文全体でどのような意味を持つか。「支える」という語を使って説明しなさい。

■ 解答

問一 A:主役の美咲 B:白い衣装

問二 ウ

問三 ア

問四 イ

問五 私は照明係を選ばれなかった自分の役割だと考えたが、祖父は舞台を支える大切な仕事と見ていたから。

問六 客席から見えない役割でも、物語や人の活動を支える大切な舞台になるという意味。

■ 解説

問三は、物語前半と後半の心情変化を比べる問題です。前半の私は「人前に出る役をやりたかった」と感じていますが、後半では照明係の意味に気づいています。

問五は、私と祖父の見方の違いを整理します。私は照明係を「選ばれなかった結果」と見ていますが、祖父は「舞台を支える役割」と捉えています。

問六は主題に関わる記述問題です。「見えない場所」「支える」「舞台」という本文中の表現を結びつけて答えるとよいでしょう。

■ 学習ポイント

  • 心情変化は、物語の前半と後半の表現を比べる。
  • 人物どうしの考え方の違いは、発言と行動から整理する。
  • 比喩や物の描写は、主題と結びつくことが多い。

※本記事は、過去問分析をもとに当塾が作成した学習用コンテンツです。出題傾向の分析・整理にはAIも活用しています。

教育センター学習塾では、富山県立高校入試の物語文読解・心情記述対策を行っています。本文の表現を根拠にして、人物の変化を説明する練習を重ねましょう。